事例10両親が外国出身の子どものサポートのケース
対象:アフガニスタン出身男子児童(6歳)
- 子どもの状況
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- 一家全員がアフガニスタン出身。
- 家庭内では、母親とはペルシャ語、父親とは英語で話をしている。
- 来日前は、英語で教育を行う幼稚園に通っていたので英語も理解できる。
- 父親の仕事の関係で来日し、日本の幼稚園(年長組)に1年通った。
- 4月に新入学生として小学校に入学。
- 長期休暇中は、毎回帰国する。
- 支援計画
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- 目的:学校生活で必要な日本語力をつける。
- サポーター:日本人日本語指導者
- 内容:日本語での日本語指導
- 期間:6月~9月(2時間×週2回×7.5週=30時間)
- 方法:別室で、サポーターと学習(取り出し)
- 経過
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- 両親ともに外国出身者で日本の学校生活を知る家族がいないことから、サポーターが英語を使って、
- 2か月間にわたって日本の学校生活のルールやあいさつの言葉などを丁寧に指導した。
- 5月の後半ごろから、学校生活には慣れたものの英語での支援に慣れてしまい、
- 「ぼく、日本語わかりません」が口癖となり、日本語を積極的に話そうとしなくなった。
- 6月から、日本人による日本語を使っての日本語指導を週2回1時間ずつ開始した。
- 夏休みの約1ヶ月、帰国。
- 2学期最初の1週間は、日本語の発話がほとんどなかった中で、日本語による日本語指導を再開した。
- 結果
- 1月のサポート終了時には、日本語力が入学当初と比べると格段に進歩し、クラスメイトとほぼ日本語で意思疎通ができるようになった。
- 振り返り
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- 両親とも外国出身者である場合、身近に日本の教育制度、学校生活のルール等がわかる人がいない場合、それを補完するため母語(またはサポーターとの共通言語)で説明できるサポーターの存在と十分理解してもらうための時間が必要である。
- 長期休暇等で日本語に触れない時期が長くなると、日本語を一時的に忘れてしまう恐れがある。
- 当該児童は、ペルシャ語、英語、日本語の3か国語を話す環境にあるためか、日本語の習得に少し時間がかかると思われる。