事例2フィリピン出身の子どもの母語がタガログ語でなかったケース
対象:フィリピン出身女子児童(7歳)
- 子どもの状況
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- 4歳頃まで日本で生活していたが、震災の際、母親の母国であるフィリピンに避難し、学齢期に入った際には、英語で教育が行われる小学校に入学。
- 7歳となった5月に帰国し、すぐに小学2年生に編入。
- 英語は少し理解できるが、日本語による意思疎通はできない。
- 支援計画
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- 目的:日本語の初期指導
- サポーター:タガログ語が母語のフィリピン出身者
- 内容:タガログ語を使っての日本語指導
- 期間:10月~2月(2時間×週2回×12=48時間)
- 方法:サポーターと別室で学習(取り出し)
- 経過
- 指導初日に、タガログ語を使って日本語指導を開始しようとしたところ、当該児童はタガログ語が通じず、母語はビコル語※であることが判明。ビコル語が話せるサポーター登録者はいないため、同サポーターが日本語で日本語の指導を行うことに変更した。
※フィリピンの公用語はタガログ語だが、フィリピンには170を超える言語があり、お互いの言葉が通じないことがよくある。 - 結果
- 当該児童は、日本語を聞き取って意味を理解し、首を振ったり指で合図したりと意思表示はできるようになったが、クラスメイトとは一言も話すことはなかった。
- 振り返り
- 支援する側に「フィリピンの言葉=タガログ語」という思い込みがあり、母語の詳細な確認を怠ったため、日本語の初期指導という本来の目的を十分に達成することができなかった。
- ポイント
- 思い込みを捨てて、まっさらな状態で子どもの状況を正確に把握!