事例1日本語を聞いて理解はできるが、一言も話せなかったケース
対象:フィリピン出身男子児童(9歳)
- 子どもの状況
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- フィリピン出身男子児童(9歳)
- 12月に来日し3学期初めに小学2年生に編入。
- 4月、学校側で日本語がまだ不十分と判断し、進級せず2学年に留年。
- 日本の学校に編入して9か月経ち、日本語の聞き取りはある程度できるようになったが、一言も日本語を話さない。
- 支援計画
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- 目的:日本語でのコミュニケーションが取れるようにする。
- サポーター:日本人日本語指導者
- 内容:発語を促す日本語指導
- 期間:9月~12月(2時間×週2回×12=48時間)
- 方法:放課後、サポーターと学習
- 経過
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- 通常の授業にはすべて参加させたいとの保護者の強い希望を受け、放課後に日本語指導を実施。
- 当初、大人への警戒からか発話がなく、心のケアが必要と考えられたが、サポーターは終始日本語で話しかけ、発話を促す指導と語彙を増やす指導に力を入れた。
- フィリピンでは小学生でも進級できないことがあるため、当該児童は今年もまた進級できないのではないかと大きな不安を抱えていた時期もあった。サポーターはそれを察知し、「大丈夫、今度は進級できるよ。」と励まし続けた。
- 結果
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- サポーターの指導のもと徐々に日本語を話すようになり、支援開始4か月後には自力で現学級での学習に参加できるようになった。
- 振り返り
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- 友だちの目を気にせず教室以外でサポーターとの発話の練習に安心して専念できたことで、徐々に日本語の発話に自信が持てるようになったと思われる。
- ポイント
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- 子どもの不安な点を的確に把握し、それにあった支援を行うことが成果につながる。