福島県在住の外国出身の方に聞く「外国人の目を通して見た福島!」の第12回。

今回は、福島工業高等専門学校に通うフィンランドからの留学生二名がインタビューに答えてくれました。早速お話をうかがっていきましょう。

テーム・マッティラさん(写真左)
ヨニ・ジャバナイネンさん(写真右)

【自己紹介をお願いします。】
私たちは、フィンランドの南西部にあるトゥルクという町で生まれました。フィンランドで一番古いお城がある歴史や文化にあふれた町です。2024年4月に来日し、いわき市に住んで2か月になります。

【福島にきたきっかけを教えてください。】
(テーム、ヨニ)日本には、3か月の交換留学プログラムでやってきました。フィンランドで通っている大学が日本の高専と協定を結んでいて、毎年交換留学をやっているんです。配属された先が福島高専だったので、いわき市に住むことになりました。
(ヨニ)私の母が、留学関係の仕事をしていて。小さいころから、いつか留学してごらんと勧められていました。日本文化に興味があって、いつかこの目で日本を見てみたいという思いから、渡航先を選びました。
(テーム)日本に来るのは、小さいころからの夢でした。10年ぐらい前かな、マンガやアニメをきっかけに日本文化にどっぷりつかってしまって。それ以来、日本に来るチャンスを探していました。

【日本・福島についてどう思いますか?】
(テーム)日本に着いたばかりのころ、東京の人混みの中を歩いていて、ふと、自分って観光客みたい、と思ったんですよね。どこにも属していない感じというか。それが、電車を乗り継いでいわきに着いたとたん、なんだか、すごくほっとしたんです。ここが自分の居場所だ、という感じで。
(ヨニ)日本とフィンランドって似ている部分が多くて、すごく居心地がいいです。例えば、4月、5月のいわきの気候はフィンランドの夏とすごく似ていたし、人と人の距離のとりかたも似ているなと思います。
(テーム)わかる!日本人もフィンランド人もどこかシャイで、沈黙を大事にするところとか、あんまり雑談をしないところとか、似ている気がする。
(ヨニ)サウナや温泉の文化があるところも似ているよね。こんなに離れた国なのに共通点があるのって面白い。

【日本で驚いたことはありましたか?】
(テーム)タブレットでオーダーをするレストランがたくさんあって驚きました。フィンランドでは全然見かけないので。それと、日本は治安がいいですよね。ものをなくしても、誰かが届けてくれて必ず戻ってくる。
(ヨニ)私は、資源物回収のシステムにびっくりしました。日本では、ビンや缶をゴミ回収日に出しますよね。フィンランドでは、街のあちこちに回収用の機械があって、みんなそこにもっていきます。ビンや缶をいれると、お金が戻ってくる仕組みなんですよ。

【福島のどんなところが好きですか?】
(テーム)人の親切さが素敵だなと思います。少し前、フランス人の友達と一緒にローカルな感じのレストランに行ったんです。オーナーさんの接客があたたかくて、しまいにはサービスでいろいろごちそうしてもらったりもして。すごくよくしてもらいました。
(ヨニ)私は、福島の自然がとにかく好きです。フィンランドの自然も有名ですが、個人的には福島の自然のほうが魅力的です。

【日本に住んでいて大変なことはありますか?】
(テーム、ヨニ)日本語、特に漢字です。プログラムに参加する前から日本語を勉強していて、日常会話は問題ないのですが、漢字となると話は別です。分からない漢字で書かれたものは、どんなことが書かれているのか見当もつかないので。前後のひらがなから、意味を推測したりすることもありますよ。
(ヨニ)翻訳ツールには本当に救われるよね。
(テーム)言語面では、周りの人にもたくさん支えてもらってます。拙い日本語でも、みんな一生懸命理解しようとしてくれるし、正しい言い方や自然な表現を教えてくれるし。

【言語といえば、いわき市民向けに語学講座を開いたということですが。】
(テーム、ヨニ)先週、いわき市民向けにフィンランドの言語や文化を紹介する講座を開きました。下は7歳から上は60代まで、いろんな世代の方が合わせて26人も参加してくれました。
(ヨニ)講座では、フィンランドの国や文化、フィンランド語の挨拶や数の数え方などを紹介しました。将来教師になりたいと思っているので、その夢を体験できるいい機会でした。
(テーム)人の学びに貢献し、みなさんの反応をこの目で見るのは、貴重な体験でした。私も教師を目指して勉強しているのですが、教える楽しさを再認識しました。

【福島にくるということで、原発や震災に関して不安を感じることはありましたか?】
(テーム)日本に来る前、放射能や原子炉についてたくさん調べました。原発事故後の状況については、さまざまな研究がすすめられているので、不安に思うことはありませんでした。
(ヨニ)私も、不安は感じませんでした。真偽不明の情報が拡散していた時期もあったけれど、今はきちんとした情報にアクセスできるようになっているので。

【帰国まであと1ヶ月ほどということですが、どんな風に過ごしたいですか。】
(テーム)福島の人たちとできるだけたくさん交流して、思い出をたくさんつくりたい。
(ヨニ)旅行をして、もっと日本のことを知りたいです。温泉めぐりもしたいな。

【最後に一言】
(テーム)次に来たときは、自転車で日本一周したいと思っています。今回の滞在をきっかけに、日本の田舎をもっと知りたいと思うようになったので。京都や東京といった大都市を訪れる外国人が多いと思いますが、もっとたくさんの人に福島の魅力を知ってほしいです。今回も、もうちょっと長くいられたらいいんだけどなあ。
(ヨニ)将来、福島にはまた来たいし、機会があればまた住んでみたいとも思います。いわきは、私にとって、第二の故郷という感じです。
(テーム、ヨニ)自国から遠く離れて暮らすのは勇気のいる選択でしたが、挑戦してみて本当に良かったです。残りの滞在をめいっぱい楽しんで、いつかまた戻ってきます!

ヨニさん、テームさん、お話を聞かせていただきありがとうございました。残り一か月、素敵な思い出をたくさん作ってくださいね。また福島にいらっしゃるのをお待ちしています。