福島県在住の外国出身の方に聞く「外国人の目を通して見た福島!」の第15回。
今回、インタビューに答えてくれたのは、福島市在住のドイツ人のソフィアさんです!

■あなたの名前を教えてください。

ソフィア・エームケです。みなさんからは「ソフィア」とだけ呼ばれています。「ソフィア」とは、ギリシャ語で「知恵(Wisdom)」という意味だそうです。福島県の経済交流員の友達と話したのですが、自分の名前の意味について考えたのは初めてでした。なぜなら、ドイツでは、名前の意味がそんなに重要じゃないと思っているからです。
私には姉と弟がいて、どちらも「S」から始まる名前なんですよ。

■どちらの国からいらっしゃいましたか?

生まれたのは、西ドイツのNRW(ノルトライン=ヴェストファーレン)州にあるボン市です。お菓子のハリボー(カラフルで色鮮やかなグミ)が生まれた土地です。11歳の時に北ドイツのオランダに近い地域に移り住んで9年間を過ごした後、ボン大学で学ぶためにボン市に戻りました。同じドイツでも北と西は文化が全く違います。北ドイツは寒く、魚料理をよく食べますし、紅茶の文化が深いです。西ドイツのケルンやボンでは、毎年2月から3月まで「カーニバル」が開催されます。これは文化的な大イベントで、コスチュームを着て盛大にパレードします。
それから、西ドイツや北ドイツのビールの味が全く違いですが、両方とも美味しいですよ。

■どんな仕事をしているか教えてください。

私は、福島県医療関連産業集積推進室で経済交流員として働いています。
福島県はドイツのNRW州と医療機器分野で連携していて、私はそれをサポートします。具体的には、医療関連の翻訳や、県内やドイツで開催される医療機器の展示会での通訳などをしたりします。
(注:福島県商工労働部産業振興総室医療関連産業集積推進室は、県内の医療関連産業の育成と集積を目的に、企業や大学・医療機関などとの連携を促進しています。医療機器や関連技術の研究開発を支援するほか、人材育成事業やビジネスマッチングを通じて新たな産業創出を推進しています。また、国内外への販路開拓や展示会出展支援など、県内企業の競争力強化に取り組んでいます)
来年度からは、再生可能エネルギー分野の業務も担当する予定です。医療関連分野と同じように、ドイツ(ハンブルク州やNRW州)やスペインのビルバオなどとのグローバル連携に携わり、展示会へ同行したり、通訳したりする予定です。
実は近々、展示会での出張予定があります。展示会では、様々な業種の人と話せるし勉強になるので、大変というより面白いです。

■どうして日本/福島に来たのですか?

ボン大学でアジアについて研究し、日本語を学びました。卒業後に熊本県に交換留学生として来日し、1年くらい過ごしました。その後、ドイツに戻って大学院に入りましたが、熊本での経験が素晴らしかったので、もう一度日本に行きたいと思いました。けれども既に大学院生であるため日本の大学に入ることはできなかったので、日本で仕事を探してみようと思いました。その時に「JETプログラム」(https://jetprogramme.org/ja/)を知り、福島は経済においても復興を目指していることを知っていたので、福島県の経済交流員になりました。

■福島で生活して仕事をしてみて、どんなことが楽しいか教えてください。

私はコミュニケーションするのが好きなので、業務や研修の中でいろいろな人と交流できるのが一番楽しいですね。県庁の中を歩いていても知らない人から話しかけられますが、それも楽しく思っています。同僚とも仲が良くて、プライベートな話も時々したりします。

■プライベートではどんなことをしていますか?

福島に来てから、見たことのない景色や行ったことがない場所がたくさんあるので、週末は観光に行きます。先日、いわき市に行きました。水族館や灯台などを巡り、おいしい魚料理を食べましたが、やはり景色がとても素晴らしかったです! 観光以外では、週末は料理をします。得意なのはイタリア料理(笑)。ドイツ料理なら、伝統的なもの(例えばレストランで見つけると「ザワーブラーテン(Sauerbraten)」という肉の蒸し煮等)は手間がかかる料理なので、自分では全く作りません(笑)。
日本料理ですと、オムライス、カレー、焼うどんなどを作れますよ。最近は寒くなってきたので、鍋もいいですね。鍋はよく作ります。
私は美味しいものを食べることが大好きなんです。今年の夏は、福島の桃をたくさん食べました。秋の果物も大好きです。特にリンゴを食べるのが楽しみです!


■日本とドイツで異なることはありますか? そのことで驚いたり、困ったりしたことがあったら教えてください。

日本はドイツと似ているところがあります。例えば、周りを山に囲まれたところや人々が優しいところ、気候など……だから大きなカルチャーショックはありませんでした。ただ、社会人として日本に住んでみて驚いたのは「印鑑」です。熊本に留学していたころは学生だったので感じませんでしたが、今は毎日印鑑が必要です。ドイツには印鑑はないので、はじめのうちは印鑑の重要さがわかりませんでした。でも、最近は私のいる部署にも「ペーパーレス」のトレンドが訪れていますね。

■実際に日本に住んでみて、日本について思うことは変わりましたか?

日本人は静かで、外国人には話しかけないだろうと思っていましたが、違いました(笑)。福島に来てたくさんの友だちができましたし、知らない人たちともたくさん話しました。みなさん、あたたかい人たちばかりですし、「外国のことを知りたい!」と思っている人も多いですね。申し訳ないのですが、福島と言ったら「地震(東日本大震災)と原発事故」だというのが海外の反応です。けれども、福島に来てみたら、豊かな自然に満ちていて、食べるものも飲むものも美味しいです! そして、福島の人たちが復興に向けて進んでいる、頑張っていることを強く感じます。私はそれを海外に向けて知らせていきたいと思っています。

■福島の好きなところを教えてください。
自然が豊かなところ、いわきの海にも行きましたが、私は特に山が大好きです。山の景色を見ると、それだけで嬉しくなります! 今年はクマによる被害が多いと聞いているのでできませんが、登山に行ったり、グランピングに挑戦したいです。自動車がないと移動が大変ですが、電車で行けるところもあるようですね。福島県は自然が豊か、私の故郷にとてもよく似ています。人の優しさも、福島は熊本とは違って寒くて雪が降るところも、私の故郷とそっくりで、そういったところが大好きですね。

■福島を世界の人たちに知ってもらうために、日本人ができることは何だと思いますか?

海外での福島のイメージは地震などもあってあまり良くないのですが、福島県民は勇気を持って「福島はこういうところだ、こういうことをしている」と発信していくといいと思います。例えば英語を話せないとしても、単語だけでもいい、おおまかに意味が伝わればそれでいいと思います。私も日本語を勉強していた時に、あまりうまく話せないので緊張しましたが、そんなにストレスに感じなくていいと思います。福島の現状を伝えることで、マイナスのイメージをプラスに変化させることができると思います。福島にはたくさんの素晴らしいところがあるのに、外国人はそれについてほとんど知りません。だから、福島の素晴らしさを、海外に向かってどんどん発信してください。
この記事を読む方々へのメッセージをお願いします。
機会があれば、私の故郷であるドイツに来てください。ドイツにもたくさん美味しいものがあります。ビールやワインも美味しいです! そのビールひとつ取っても、ドイツの各地方によって味わいが異なります。ドイツと言えばノイシュバンシュタイン城やミュンヘンがある南ドイツが有名ですが、他の地方、ボンやケルン、ハンブルク、ブレーメンなどにも足を延ばしてみてほしいです。

明るい笑顔に青い瞳が輝いて、とても溌溂とした様子のソフィアさん。「ドイツ人に対して持つイメージは、勤勉で冗談を言わなさそう」と伝えると、それはステレオタイプだと笑い飛ばされました(笑)。「海外に今も残る福島のイメージを払拭するためには、福島県民が勇気を持って発信すること」というソフィアさんの言葉に、強く勇気づけられました。